商業施設女性殺害事件 元少年に賠償 母親は棄却 福岡地裁
03月24日 19時43分
5年前、福岡市の商業施設で客の女性が殺害された事件をめぐり、有罪が確定した当時15歳の元少年とその母親に対し遺族が賠償を求めた民事裁判で、福岡地方裁判所は元少年に対しておよそ5400万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
一方、母親に対する訴えは退けました。
2020年8月、福岡市中央区の商業施設で買い物に訪れていた当時21歳の女性が殺害された事件では、少年院を仮退院したばかりだった当時15歳の元少年が殺人などの罪に問われ、懲役10年から15年の不定期刑が確定しました。
この事件をめぐり、女性の遺族は精神的苦痛を受けたとして、元少年とその母親に対しあわせておよそ7800万円の賠償を求めていました。
24日の判決で福岡地方裁判所の上田洋幸裁判長は元少年の責任を認め「かけがえのない家族を理不尽にも残虐な殺害行為で、突然失った精神的苦痛は極めて甚大だ」としておよそ5400万円を支払うよう命じました。
一方、元少年の母親については「不適切な養育を含む家庭環境が元少年の暴力行動などに影響したと考えられるが、同居していたのはおよそ4年半前でその後は、治療や矯正教育が行われていて母親の指導・監督が事件に影響を与えたと認められない」と指摘し、訴えを退けました。
裁判のあと女性の母親は会見を開き、「言葉が出てきません。問題があっても、施設に預けて放っていてもいいということでしょう。こんなに悔しいことはないです」と言葉を詰まらせながら話していました。
http://www.nhk.or.jp/fukuoka-news/20250324/5010027519.htm